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胡蝶蘭の原産地を知る

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原産地を知ることは、育て方を理解し管理する上で大切なポイントになります。

出典: http://misszeit.tumblr.com
胡蝶蘭は優美な花姿で私たちの目を楽しませてくれますね。日本での歴史は意外に浅く、明治時代にイギリス経由で伝わったそうです。今でこそ個人の鑑賞用としても人気の胡蝶蘭ですが、当時は温室栽培の技術がまだ普及しておらず、一部の上流階級の人々だけが楽しめる高価なお花でした。胡蝶蘭はもともと熱帯の植物であり、主な原産地は台湾やフィリピン、インドネシアなど東南アジアの熱帯地域に分布しています。四季のはっきりした日本と異なり、年中温暖な原産地では胡蝶蘭はどのように生育しているのでしょう。そして原産地の環境は、胡蝶蘭の特性にどのような影響を与えたのかも気になります。原産地を知ることは、育ってきた条件に添った管理ができるという利点があります。胡蝶蘭を長く楽しむために、原産地の情報はぜひ知っておきたいですね。まずは胡蝶蘭の原産地とその環境について紹介しましょう。

胡蝶蘭の特性と原産地の関係

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胡蝶蘭の原産地は、赤道と南北回帰線の間の熱帯地域に分布しています。

出典: http://www.eva.hi-ho.ne.jp
胡蝶蘭の特性と原産地の関係というと、何やら難しく聞こえてしまいますね。例えてみるならば、出身地と県民性の関係とでも申しましょうか。北国育ちの人は寒さに強く暑さに弱い、南国育ちの人は暑さに強く寒さに弱い、という傾向と似ています。胡蝶蘭は、原産地が熱帯地域なので寒さに弱い植物であることがわかります。さらに胡蝶蘭の特性を育て方のポイントから見てみましょう。

■胡蝶蘭の育て方のポイント
  • 直射日光は避ける
  • 水やりは乾ききってから与える
  • 風通しのいい場所に置く
  • 室内温度は18~25℃程度で管理
  • 冬は10℃以上の場所に置く


育て方のポイントからは、胡蝶蘭は乾燥に強く、半日蔭で暖かい場所を好む特性であることがわかります。原産地は熱帯なので温暖を好むのは理解できますね。では乾燥に強いのはなぜでしょう?そのヒントは原産地に隠されています。それでは原産地の環境について詳しく見ていきましょう。

原産地は湿潤な熱帯雨林

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温暖な海上の空気が上昇気流となり、結果、雨をもたらします。このため、胡蝶蘭の原産地である東南アジアの熱帯地域には、熱帯雨林が形成されます。

出典: https://ja.wikipedia.org
胡蝶蘭の原産地はフィリピンやマレーシア、インドネシアなど、主に東南アジアの熱帯地域です。赤道と南北の回帰線の間の熱帯地域は、年間の平均気温が19℃を超えるなど、一年中温暖な環境です。そして、日射しに恵まれ年中温暖な気候は上昇気流を生み、低気圧を発生させます。低気圧は雨をもたらし、赤道直下の熱帯地域では熱帯雨林が形成されていきます。つまり胡蝶蘭の原産地の環境は、湿潤な熱帯雨林だということですね。ここで一度、胡蝶蘭の特性と原産地の環境を整理してみましょう。

■胡蝶蘭の特性
  • 温暖を好む
  • 乾燥に強い


■原産地の環境
  • 年間平均気温が19℃を超える熱帯地域
  • 湿潤な熱帯雨林に覆われている


おや?おかしいですね?胡蝶蘭は乾燥に強い特性を持っていますが、原産地は湿潤な熱帯雨林です。多湿な環境で育ったならば、湿度に強く乾燥に弱い植物になるのではないでしょうか。矛盾を感じますね。湿潤な熱帯雨林で、なぜ乾燥に強く育ったのでしょう。胡蝶蘭の生育環境について、さらに詳しく見る必要がありそうです。

熱帯雨林に生息する胡蝶蘭とその特徴

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原産地では、樹木の幹に根を張り成長する原種が見られます。

出典: http://orchidladies.com
胡蝶蘭の原産地である熱帯地域は、高温多湿な熱帯雨林に覆われた環境だということがわかりましたね。湿度の多い環境に居ながら、なぜ乾燥に強くなったのでしょうか。そこで原産地での生育環境に目を向けてみましょう。私たちが普段目にする胡蝶蘭は、鉢植えや艶やかにアレンジされた装飾用の花が多いですね。しかし胡蝶蘭は本来、着生ランという着生植物であり、樹木の幹や樹皮に根を張って育つ植物なのです。原産地である東南アジアの熱帯雨林には、胡蝶蘭の原種である着生ランが生息しています。樹木に根を張って育つといっても、樹木から養分を吸収しているわけではありません。空気中に晒されている根と葉から、自然の雨や霧などの水分を摂っているのです。私たちの知る高貴で美しい胡蝶蘭よりもワイルドに生きている感じがしますね。そして胡蝶蘭が乾燥に強い理由も、この「着生ラン」という育ち方に関係がありそうですよ。それでは、原産地に生息する着生ランの特徴を見てみましょう。

■着生ランの特徴
  • 樹木の表面に根を張り巡らせ、空気中の水分を吸収して育つ
  • 樹木の養分は吸収しないので、寄生ではない
  • 水分の蒸発を抑えるため、夜間に光合成を行う
  • 水分や養分を蓄えるために、葉は肉厚であることが多い


このように、着生ランは樹木に根を這わせながらも、樹木の栄養ではなく空気中の雨や霧などの水分を吸収して育ちます。そして、水分の蒸発を最小限に抑えようと光合成のタイミングを変え、大切な養分を蓄えられるように葉の形状を変えてきました。これはつまり、わずかな水分でも生育できるということです。育て方のポイントは水やりでしたね。胡蝶蘭が乾燥に強い理由が、ようやく見えてきましたよ。

胡蝶蘭が乾燥に強い理由とは

東南アジアの熱帯雨林で、胡蝶蘭の原種は他の樹木に着生して成長していました。熱帯の原産地に降り注ぐ自然の雨や霧だけに水分の補給を頼るのは、何とも心許ないことです。特に熱帯の乾季においては、水不足に陥って枯れてしまう危険にさらされます。そのような過酷な環境で、ごく僅かな水分でも生育できるように胡蝶蘭は変化してきたのです。葉や茎は水分や養分を蓄え、乾燥に強くなるために分厚くなりました。そして、昼間は水分の蒸発を防ぎ、夜中に二酸化炭素を貯め込むなど変則的な光合成を行うようにもなりました。このように胡蝶蘭は自らの管理をするために、構造を原産地の環境に合わせて適応させてきたのです。そして、原産地が湿潤な熱帯雨林でありながら、乾燥に強いという特性を持つに至りました。これが、胡蝶蘭が乾燥に強く、少しの水やりでも長もちする理由だったのですね。
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胡蝶蘭の原種は自らの組織を変化させ、原産地の環境に適応していったのです。

出典: http://yaplog.jp

最後に

いかがでしたか。胡蝶蘭と原産地の関係についてお伝えしてきましたが、原産地の生育環境に適応して進化を遂げた胡蝶蘭の生命力には驚かされますね。鉢花で鑑賞していると気品や優美さなどにばかり注目しがちです。しかし、原産地を知り、その環境を知った今では、胡蝶蘭のたくましさに目を見張るばかりです。原産地の生育環境に思いを寄せると、日々のお手入れや管理のひとつひとつに心を込められるような気がしませんか?ちょっと面倒かも、と思いかけていたお手入れの注意点がストンと腑に落ちてきますよ。原産地と環境を理解した上で、改めて胡蝶蘭のある生活を楽しんでくださいね。
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