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冬越えする前に!多肉植物の特徴を知っておく

多肉植物はふっくらとした葉と茎が可愛らしく、品種によって色とりどりで、秋には紅葉もする魅了的な観葉植物です。一度目にするとその魅力の虜になり、多肉植物を育て始める人が多く、近年大人気になりました。葉と茎に多くの水分を蓄えているので水やりの手間が少なくて育てやすい反面、冬の寒さに弱い性質があり、冬越えさすのが難しいと思う方も多いのではないでしょうか。特に初心者の方は不安ですよね。でも大丈夫です。多肉植物の種類と特徴をきちんと掴めば寒い冬も乗り切ることができますよ。まずはその独特の特徴から説明していきます。

原産地や種類は千差万別

多肉植物の原産地はメキシコ、南アフリカ、マダガスカル、中国、アラビア半島など広範囲にまたがり、雨が少なく乾燥した気候の熱帯や砂漠地帯に自生しています。原種だけでも1万5000種類以上あるといわれ、2万種類以上の品種があります。自生していた場所によって多肉植物の性質は異なり、育て方も少し違ってきます。冬越えを成功させるためには、育てたい多肉植物がどの品種なのかを知ることも大切です。

多肉植物の適温は生育期を目安にする

2万種類以上もある多肉植物ですが、大きく分けると春秋型、夏型、冬型の3つに分けることができ、それぞれ性質や適温、育て方が異なります。春秋型の多肉植物の生育期は春と秋で、適温は10〜20℃、真夏と真冬に休眠します。夏型の多肉植物の生育期は5〜9月で、適温は20〜30℃、冬に休眠します。冬型の多肉植物の生育期は11〜4月で、適温は5〜20℃、夏に休眠します。こうして分けると冬型は寒さに強そうな感じがしますが、5℃以下の寒さには同じように弱いので注意が必要です。

多肉植物冬越えが出来る正しい育て方

多肉植物は品種によって冬の寒さに強いものと弱いものがありますが、基本的な育て方を知っておけば、きちんと対応でき、冬越えさせられます。ここでは基本の冬の育て方を詳しく説明していきますので参考にしてください。

冬の置き場所【室内】

冬に多肉植物を室内で管理する場合は、よく日が当たり、風通しのよい窓辺が適しています。日が落ちると窓辺は気温が下がるので、もう少し部屋の中に移動してください。室内の温度は8〜20℃が適温です。あまり暖房の効きすぎた部屋は株が傷む原因になりので、1日を通してあまり温度差がないように管理しましょう。なお、秋のあまり早い時期に室内に取り込まない方が寒さに適応力が付いて冬越ししやすくなります。しかも、葉が紅葉する品種も多く、屋外で徐々に水やりを控えめにしていき、日に当てる育て方をすると鮮やかで色の濃い紅葉を見ることができます。霜が降りる前までは屋外で管理して、丈夫で紅葉の美しい多肉植物にし、真冬は室内で大切に管理することをおすすめします。

冬の置き場所【屋外】

冬に多肉植物を屋外で管理する場合は、温暖な地域でしたら軒下など日のよく当たる場所が適しています。日中の外気温が5℃を下回る寒冷地域は温室などで管理する必要があります。簡易ビニールハウスを利用するのも手軽でおすすめです。ただし、多肉植物は密閉された状態だと高温多湿になって株が腐ります。日中は窓を開けて換気し、夕方に閉めることを忘れないようにしてください。室内で管理する時と同様に、1日の温度差があまりないように気をつけましょう。

冬の水やり

春秋型と夏型の多肉植物は、秋の気温の低下と共に水やりの回数を徐々に減らしていき、12〜2月は月に1回程度、土の中まで完全に乾いてからにします。水やりポイントは、今後3日間は晴れが続くという日の暖かい午前中に、冷たさを感じない程度に温めた水をたっぷりやることです。水やりの後は風通しの良い場所でしっかり乾燥させてください。株は多湿の状態が長く続くと傷んでしまいます。冬の水やりを失敗すると、外見は大丈夫に見えても、根腐れを起こし、春に一気に枯れることがあります。乾燥気味を心掛けてダメージを少なくしましょう。冬型の多肉植物は冬に生育期を迎えるため、土の表面が乾いたらたっぷり水やりします。ただし、水分を多く含んだ状態で5℃以下の寒い場所に置くと株が傷むことや、0℃以下になると凍ることがあります。水やり後は暖かい場所で管理するようにしてください。

霜は要注意!1夜で全滅することがある

多肉植物は葉や茎に多くの水分含んでいる為、霜に当てると中の水分が凍ってしまうことがあります。冬の寒さに弱い品種だと、一晩で全滅してしまうこともあるのでとても注意が必要です。寒さに比較的強いとされている品種でも霜は危険です。しっかり対策をして霜に当てないようにしましょう。

天気予報に注意する

これまで説明してきたように、多肉植物の育て方は気温や天候と密接に関係しています。特に冬は天気予報を毎日見て、1日の時系列天気予報で最低気温、風の強さをチェックします。例えば、最低気温が同じ0℃でも、1時間しか0℃にならなければ凍る可能性は少ないですが、3〜4時間あれば確実に凍ります。また、同じ5℃でも風が弱ければそれ程心配ないですが、風が強ければ多肉植物の体感温度も下がり、株が傷む可能性があります。このように1日を通しての温度管理がとても重要なのです。その他にも週間天気を見て天候の悪化や寒波が来ないかなどをチェックして、事前に備えることも大切です。

多肉植物の冬越えに役立つアイテム

全般的に寒い冬が苦手な多肉植物ですが、一定の温度を保てば室内でも屋外でも管理することができます。でもその為には、ちょっとした工夫とアイテムが必須です。便利に使えて保温効果の高いアイテムと使い方の例をご紹介しますので、いろいろとアイデアを凝らして頑張って冬越しさせてください。

最高最低温度計

別名、記録式温度計とも言われ、昨日の最低温度と最高温度、現在の温度が測定できる温度計です。昨日の気温を参考にしながら、今日の温度、天気予報と照らし合わせて、多肉植物の1日の管理の計画を立てられてとても便利でおすすめです。

新聞紙や不織布

屋外で多肉植物を育てている場合は、天気予報で最低気温が5℃以下と出た時に、ビニールハウスの上に3〜4重にした不織布や毛布を被せる方法があります。また、多肉植物の上に新聞紙や不織布を引いておくと強い冷え込みを押さえることができます。ビニールハウスが設置できない時は、蓋付きの発泡スチロールの中に多肉植物を入れて、不織布を被せておくのもおすすめです。室内で管理している場合でも、窓辺にしか置き場所がない時は、不織布や新聞紙を多肉植物の上に引いておくと保温できます。また、心配でしたら段ボール箱や発泡スチロール箱をひっくり返して被せておいても良いです。

エアーパッキン(プチプチ)

多肉植物の周りにエアーパッキンを巻き付けておくと、冷たい冬の風から守ることができます。また、寒冷地や特に冬の寒さが厳しく、日中の外気温が5℃を下回る地域ではビニールハウスだけでは暖かさを保てないことがあります。そのような時はエアーパッキンをビニールハウスの周りに2〜3重巻き付けておくと保温効果がアップします。その他に、発砲スチロール箱の底にエアーパッキンを敷いておくのも保温効果が上げることができ、おすすめです。

冬に強い多肉植物ご紹介

基本的な育て方のポイントを押さえればちゃんと冬越えできることは分かったけれど、やはり初めてだと心配ですよね。でも大丈夫です。多肉植物の中には寒さに強い品種もあるのですよ。初めての冬越えでも失敗の少ない、おすすめの品種をご紹介します。

センベルビウム属

センベルビウム属の品種は40種類程あり、ガゼル、紅牡丹、ソフトラインなどが人気です。その中でもガゼルは耐寒温度が-15℃と冬の寒さにとても強く、霜に当てても枯れないので、冬越え初心者の方にも安心です。反対に高温多湿が苦手で、夏や梅雨は多湿にならないよう風通しの良い場所に置いてください。春秋型のロゼットタイプで、春に日光に良く当てて育てると晩秋に綺麗に紅葉します。また、春に濃いピンクの花を咲かせることがあり、子株が出て群生しやすく育てやすい多肉植物です。

セダム属

セダム属の品種はとても多く、420種類程もあると言われ、乙女心、虹の玉、メキシコマンネングサなどはとても人気があります。中でも乙女心は耐寒温度が-1℃と冬の寒さに強く、霜に当てても簡単には枯れません。冬越えが初めての方にもおすすめの多肉植物です。小さいバナナのような薄緑色の葉は、日光を好み、良く日に当てて育てると秋に葉先が紅葉し赤く染まります。この紅葉は冬を超えて春先まで続き、春に黄色の花を咲かせます。見た目の可愛さと耐寒性の高さから多肉植物の中で女性に大人気の品種です。

グラプトペタルム属

グラプトペタルム属の品種は数多くあり、朧月、ブロンズ姫、秋麗などに人気があります。その中でも朧月は耐寒温度が0℃と冬の寒さに強く、うっかり霜に当ててしまっても少々なら枯れません。繁殖力が強く、長く茎を伸ばして子株を付け、見栄えも良いので冬越え初心者の方におすすめの多肉植物です。春秋型で、春にオレンジや黄色の綺麗な花を咲かせます。戸外で日に当てると灰緑色のロゼット状の葉がうすいピンク色を帯びることがあります。

セネキオ属

セネキオ属の品種は80種類程あり、グリーンネックレス、七宝樹、青涼刀などが人気です。その中でもグリーンネックレスは5〜9㎜の玉のような葉がネックレスのように繋がって垂れ下がるおしゃれな多肉植物です。耐寒温度は2℃~3℃と比較的冬の寒さに強く、初心者でも冬越えさせやすいのでおすすめです。夏型なのですが、直射日光に弱いので一年を通じて柔らかい日差しが当たる場所に置いてください。乾燥にとても強く、反対に過湿状態にすると根腐れしやすいです。土が中までしっかり乾いてから水やりをするようにしましょう。冬越しが心配であれば、晩秋にはお家の中に取り込むと一層安心ですね。色違いの品種にルビーネックレスがあります。

まとめ

いかがでしたか。冬の寒さに弱い多肉植物も正しい育て方とちょっとした工夫で、初めての方でも安心して冬越えさせられますね。ふっくらとした葉と茎が可愛い多肉植物は、耐寒温度の近い種類を並べて置いたり、寄せ植えにしたりすれば、冬の管理がしやすくておすすめです。アイデアを凝らして寒い冬を乗り切り、初心者を卒業してください。色とりどりの多肉植物をたくさん飾って素敵な観葉植物にし、お部屋やガーデニングをパッと華やかに彩ってみてはいかがでしょうか。

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